不妊治療が保険適用になるとどうなるのか?決していいことばかりではない!?「〇〇損失」という考え方
東洋医学で自然妊娠に導く 妊活コンサルタント 高橋敏郎です♪
不妊治療の保険適用が大幅に拡大されるというニュースをよく見聞きするようになりました。
具体的には、今年(令和3年)の夏に保険適用に関する学会ガイドラインが完成し、年明けに保険適用の正式決定、令和4年度から保険適用が開始されるようです。
不妊治療の保険適用が実施されるまでの具体的な流れはこちら↓
https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000718601.pdf
不妊治療の保険適用のメリットとデメリット
不妊治療が保険適用になると、どんなメリットとデメリットがあるのでしょうか?不妊治療に取り組む方の視点、社会課題の視点でまとめてみました。
メリット
- 不妊に悩む方の経済的な負担の軽減
- 少子高齢化という社会問題への注目
- 少子化対策?
デメリット
- 自然妊娠の機会損失
- 不妊治療に関わる様々な負担
- 医療費の増大
その他にもメリットとデメリットがあるかと思いますが、ここでは、私が考える大きなメリット、デメリットをそれぞれ3つ挙げました。
不妊治療のメリットについての考察
まず、メリットについて、「不妊に悩む方の経済的な負担の軽減」は、最大のメリットと言えるでしょう。
経済的な課題によって、不妊治療を受けたくても受けられないという方が相当数いることが想像されます。
不妊治療(体外受精・顕微授精)に取り組むと、1組のカップルが平均150万円程度を出費しているというデータもあります。
年間約50万組の方が不妊治療を受けていますが、保険適用が開始されることで、この数は確実に増えることが予想されます。
次に、「少子高齢化という社会問題への注目」が集まることも、一つのメリットであると考えています。不妊治療に取り組むと、経済的な負担だけでなく、その他の負担が伴います。
検査のために通院し、タイミング法や人工授精で、1周期当たり1~2回の通院が必要です。保険適用が大幅に拡大されるであろう体外受精・顕微授精の段階になると、1周期当たり4~5回程度の通院が必要になります。
また1回の診療時間は、風邪で診察を受ける場合とは訳が違うので、それなりの時間を要することになります。
仕事をしながら不妊治療に取り組む方の場合、有給休暇を取得して通院したり、早退して通院したりということが頻繁になるでしょう。
不妊治療の保険適用が拡充されれば、不妊治療の社会的認知度が上がり、不妊治療に取り組みやすい環境が今より整うことが予想されます。
最後に、メリットの一つになり得る少子化対策についてです。
これについては、費用対効果を考えると△です。不妊治療が保険適用になることで、不妊治療を受けるカップルは増えることでしょう。よって、出生数も多少上がるかもしれません。
ただし、不妊治療の保険適用=不妊治療の成功率アップではありません。現在、不妊治療(体外受精・顕微授精)で生まれてくる子供は、年間57,000人(2018年)です。仮に、この数字が倍になっても、12万人弱です。保険適用が、少子化対策として効果的とは決して言えません。
つまり、保険適用に費やす膨大な公的資金に見合うほどの少子化対策が期待できるかは???です。
妊娠・出産は、両親にとってのゴールではなく、スタートです。ゴールは、子を育て、自立させること。1人の子供が成人するまでに、2千万円かかるという試算もありますので、少子化対策には、子育てしやすい社会環境を整えることも重要です。
不妊治療のデメリットについての考察
不妊治療の最大のデメリット
私はこれに尽きると考えています。それは、自然妊娠の可能性を逸してしまうことです。
不妊治療に取り組む場合、「不妊症」の判定が重要です。
明らかに「不妊症」と言える場合、たとえば、両側卵管閉塞、無精子症、絶対的なセックスレスでは、子供を授かる手段として、不妊治療という選択肢しかありません。
でも、今の不妊治療では、明らかな「不妊症」とは言えない「不妊」という状態の方も含めて不妊治療に進んでいるのが現状です。自然妊娠の可能性のある方までが、不妊治療に取り組んでいる可能性があります。
「明らかな不妊症とは言えない不妊」とは、たとえば、「性交渉があっても1年以上妊娠しない」とか、「高齢」とか、あるいは、「検査をしても不妊の原因がわからない」などです。
タイミング法を除き、不妊治療に取り組むということは、その期間自然妊娠の可能性をほぼ逸してしまうことになります。チャンスがあるのに、そのチャンスを逸してしまうことを経済用語で「機会損失」と言います。
「機会損失」について、詳しい記事はこちら↓
事実、1人目のお子さんを不妊治療で授かり、2人目を自然妊娠で授かるという方がいらっしゃいます。こういう方の場合、必ずしも不妊治療が必要だったかはわかりません。
不妊治療を検討するとき、不妊の原因が完全には断定できなくても、ご自分の不妊が「機能的(機能性)不妊」なのか「器質的不妊」なのかを推察することは重要です。
このような推察なしに、不妊治療に取り組んでしまう方がたくさんいるのが現状ですので、不妊治療をご検討の方は、しっかりと夫婦で話し合いをしてから決めることをおすすめします。
機能的(機能性)不妊と器質的不妊についての記事はこちら↓
不妊治療のデメリットについて、2つ目に不妊治療に関わる様々な負担が挙げられます。
不妊治療の保険適用で、経済的な負担は軽減されるメリットが生まれます。しかし、不妊治療に進むことでその他の負担が生まれます。
- 身体的負担
- 精神的負担
- 社会的負担
身体的負担
不妊治療では、各種の検査が行われます。女性の場合、時に激痛を伴う検査もあり、身体的な負担が生まれます。
精神的負担
不妊治療(体外受精・顕微授精)で子供を授かる確率(年単位)は、年齢によっても異なりますが、平均値で12%程度です。
つまり、88%の方は、不妊治療で子どもを授かることができないということです。こういう事実を知らずして、不妊治療に取り組んでいる方も少なくありません。
「不妊治療をやれば、たぶん子供ができるだろう」という安易に不妊治療に取り組んで、実際は子どもがなかなかできないとなると、出口の見えない不安に襲われ、精神的な苦痛へとつながります。
社会的負担
不妊治療は、仕事をしながら取り組むとなると、会社の理解も必要になるでしょう。不妊治療に対して、理解があり、かつ、余裕のある会社なら良いですが、現実は多くの会社で「人手が足りない」「理解はできるけど、休まれたら困ってしまう」というのが実情です。
不妊治療では、このような社会的な負担が発生します。
最後に、不妊治療のデメリットは、医療費の増大です。ただでさえ、医療費が膨らんでいることが問題になっている昨今、ますます医療費が膨らんでいくことでしょう。
この費用は、結果として、税金で賄われることになります。妊娠・出産という結果にコミットできる施策ならば良いですが、前述のように成功率が決して高いとは言えない不妊治療への投資のツケは、結局、私たち国民の首を絞めることにつながります。
まとめ
- 不妊治療が保険適用になることは、手放しで喜べない。不妊治療に取り組むなら、メリットとデメリットを熟慮し、夫婦で話し合ってから決めよう!
- 不妊治療の保険適用は、経済的な負担は軽減するが、不妊治療に取り組むことで、別の負担が増えることを知っておくことが大事。
- 不妊治療(体外受精・顕微授精)で子供を授かる確率は、高く見積もった平均値で15%程度。85%の確率で、子供を授からないことを知る。
- 不妊治療に取り組む前に、自分の「不妊」が機能的な不妊なのか、器質的な不妊なのかを推察することは大切なこと。
- 不妊治療に取り組むこと=その期間自然妊娠のチャンスを逸することでもある。
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